「このまま公務員を続けていていいのだろうか─」
そう感じていても、「転職活動って在職中にしていいの?」「バレたらどうしよう」「法律違反にならないか不安」という気持ちがあって、一歩を踏み出せない方は多いはずです。
結論ですが、公務員在職中に転職活動を行うことは法律的に可能ですし、バレる心配もほぼゼロです。
私も国家公務員として在職中に転職活動を行い、内定をもらい転職しました
ただし、
- ・勤務時間中に活動しない
- ・職場の人に転職活動については一切話さない
- ・国家公務員の課長補佐以上の場合、法律上の制限に注意する
など、守るべきルールはあります。
この記事では、次の3つをわかりやすく解説します。
「法律に違反しないか心配」「家族もいるし慎重に進めたい」という方にとって、この記事が安心して行動を始める手助けになれば嬉しいです。
【結論】公務員でも転職活動はできる

まず結論として、国家公務員でも、地方公務員でも在職中に転職活動することは法律的に可能です。とはいえ、本当に問題がないのか、根拠がほしいところですよね。これから詳しく解説していきます。
国家公務員でも地方公務員でも転職活動は可能(ただし条件あり)
国家公務員でも地方公務員でも、在職中に転職活動を行うことは法律上問題ありません。日本国憲法第22条でも「職業選択の自由」が保障されています。公務員にも当然、この権利があります。また、国家公務員法・地方公務員法にも「転職活動をしてはならない」という禁止規定はありません。
憲法で国民全員に保障されている権利なので、公務員も当然職業選択の権利はあるってことですね
実際に私も含め、転職していったほとんどの公務員は、在職中から転職活動を進めています。求人への応募やエージェントとのやりとり、面接なども以下の条件を守っていれば、違法ではありません。
- 勤務時間中に活動しない:職務専念義務違反とみなされる可能性あり
- 職場のPCやメールを使わない:私用のスマホやパソコンで活動を行い、職務との線引きを明確に
- 職務上の情報や立場を使わない:守秘義務や倫理規定に違反する行為は、懲戒処分の対象になる可能性
つまり、家に帰ってから自分のパソコンやスマホを使って転職活動するのは問題ないってことだね
ただし、国家公務員、特に本省課長補佐級以上の場合は、規制が追加されるので注意が必要です。詳しくは「公務員の転職活動に関する法律・ルール」でご説明します。

公務員の転職活動に関する法律・ルール

国家公務員、地方公務員にそれぞれ適用される法律等が異なります。まずその違いを説明したうえで、法律上の注意点を説明してきます。
国家公務員・地方公務員で異なる点
国家公務員と地方公務員の転職活動に関する主な違いは、以下の表のとおりです。
項目 | 国家公務員 | 地方公務員 |
---|---|---|
適用される法律 | 国家公務員法 | 地方公務員法(+自治体ごとに条例) |
転職活動の制限 | なし(勤務時間外・私的手段なら可) | 同様に制限なし |
営利企業への就職制限 | あり(国家公務員法第103条・104条) | 原則なし(自治体によって通達レベルの対応あり) |
退職後の就職制限 | あり(一部職種で1年以内の制限) | 基本的に制限なし |
適用される法律は違っても、大きな違いはありません。
国家公務員、地方公務員それぞれに特有の注意点については、次で詳しく解説します。
国家公務員の注意点
国家公務員の場合、利害関係がある企業への再就職が禁止されています(国家公務員法第百六条の三(在職中の求職の規制)。ただし、本省係長級以下の人は対象外なので、ご安心ください。
この「利害関係」の定義がよく分からないんだよね…
自分が興味ある分野の企業を見ていると、今の職場と何らかの関与はありそうで不安…
この利害関係については、内閣府の「国家公務員の再就職に関する規制について」に詳しく記載されているので、引用します。
利害関係企業等の定義
職員が職務として携わる事務の相手方のうち、①~⑦のいずれかに該当する営利企業等をいう。
- 犯罪の捜査、公訴の提起又は刑の執行を受ける者である営利企業等
- 許認可等を受けて事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 補助金等の交付を受けて交付対象事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 立入検査、監査若しくは監察を受け、又は受けようとしている営利企業等
- 不利益処分をする場合の名あて人となるべき営利企業等
- 法令の規定に基づく行政指導を現に受けている営利企業等
- 国等と一定の契約を締結し、又は契約の申込みをしようとしている営利企業等
この定義を踏まえると、現在の職務として、直接規制や補助金を交付している企業でもない限り、規制の対象外と考えて良いでしょう。
私自身、転職先が自分の所属する省から許認可を受ける立場でした。それでも自分の担当業務とは直接の関係がなかったので、問題なく転職できました
地方公務員の注意点
都道府県や市町村の場合、地方自治体ごとに条例が定められています。場合によっては、地方公務員法以上に細かく規制されていることもありえます。まずは、あなたが勤める団体の条例を調べることをオススメします。
例として、東京都の場合を見てみましょう。東京都職員の退職管理に関する条例が定めらており、再就職に関する規制は第3条から第5条に定められています。
この条例が読みづらすぎるので、条例の抜粋はしません…
この条例を解説した東京都人事部が出している退職管理制度のポイントがわかりやすいので、引用しますね。
(退職管理条例第3・4・5条)
管理職は、退職時の職務に関係のある利害関係企業等に対し、求職活動を行うことが禁止されます。
退職後も2年間、求職活動の自粛が求められます※ 利害関係企業等への求職活動については、退職管理委員会への諮問・答申を得た上で、任命権者が承認する場合に限り認められます。
上記の文書に「管理職」と記載がありますね。東京都職員の場合も、国家公務員と同様、ある程度上位の職位(管理職)でない限り、規制の対象外と考えて良さそうです。
「利害関係企業」も国家公務員と同様、狭い範囲みたいだよね
自治体の人事委員会で定めている場合があるので、心配な人は調べてみてください
転職活動が「バレる」リスクとその対策【体験談つき】

公務員在職中に転職活動をした経験から、バレるリスクをまとめると以下のとおりです。
- ・転職活動がバレるリスクは、自分がバラさなければほぼゼロ
- ・職場の上司や同僚にバレた場合、引き止めが発生することも
- ・バレないために「誰にも転職活動については言わない」
それぞれ私の経験談を含めて詳しく説明していきます。
転職活動がバレるリスクはほとんどない

転職活動をしていたとしても、職場にバレるリスクはほぼゼロです。バレるとすれば自分が原因のケースがほとんど。バレるケースとしては、同僚や職場の上司に転職活動をしていることを話してしまうくらいです。
実際、周りで転職活動をしていた人たちも、転職活動中にバレてたケースは一つもありません
でも転職エージェントやサイトに登録すると、今の職場に名前がバレちゃうんじゃないの?
私も転職活動を始めたとき、転職エージェントに登録したら情報が漏れちゃうのではと思っていました。ただ、リクルートエージェントなど転職エージェントを活用した経験から言えるのは、次の2つです。
- 公務員の人事担当者は転職エージェントを使っていない
- 転職エージェントには現職や関連団体をブロックする機能がある
公務員の人事担当も、眼の前の仕事をこなしていくので精一杯。たくさんある転職サイトや転職エージェントをそれぞれチェックして、転職活動中の職員がいないか監視する時間なんてありません。
人事担当者もヒマじゃないから、バレる可能性はほぼゼロと考えてOKです
バレたらどうなる?処分の可能性は?

転職活動自体は法律違反ではないので、処分の対象にはなりません。勤務時間中に活動したり、職務上の情報を利用したりする場合は処分の対象になりますが、平日の夜や土日に転職活動をしていることがバレても、処分の対象にはならないので安心してください。
ただ、上司を含めて職場の人に「転職を考えている」とバレると面倒くさいことがたくさんあるよね…
私が民間企業から内定をもらった後が大変でした。上司に退職を伝えた後に職場で起きたできごとは以下のとおりです。
- 上司の部屋に何度も呼ばれ、1日1時間以上引き止めされる
- 人事担当部署に5回呼び出され、退職を思いとどまれないか個別面談
- 同じ課の人たちに噂が広まり、仕事がしづらい
- 「裏切り者」扱いされているような気がする
上司や同僚にバレたら、今の職場にいるのが苦痛になります。「転職活動していることは誰にも伝えない」。これがベストです。
バレないための具体的な対策と私の体験談
私が国家公務員からの転職活動中、職場の人達にバレないように行っていた対策はつぎの4つです。
- 家族以外、誰にも転職活動していることは伝えない
- 飲み会の場では飲みすぎないようにして、失言を防ぐ
- 転職サイトのチェックや転職エージェントとの連絡は昼休みは行わない。退勤後か土日に限る
- 面接はできれば土日、それが無理なら平日の18時以降にセット
これだけ実施すれば、バレる可能性はほぼゼロになります。
飲み会の場だとついつい余計なことを言いがちなので、特に注意です

公務員が転職活動を成功させるための3つのコツ

転職活動を成功させるには、書類作成や面接の準備、退職交渉などを適切なタイミングで進めていくことが重要です。 つぎの3つをおさえておくと、後悔のない転職ができます。
- 自分のやりたいこと、興味のある分野は何なのかを自問自答する
- 応募書類の作成や面接対策は転職エージェントを活用
- 公務員在職中に転職活動を行い、内定を獲得してから退職を伝える
転職活動の開始から退職願の提出までの流れはつぎのとおりです。
- 公務員として働きながら転職活動&内定獲得
- 辞める時期は内定先に合わせる
- 上司と面談し、退職意向を伝える
- 人事担当者と面談
- 退職願などの事務手続き
公務員を退職するための流れだけでなく、できるだけ同僚に迷惑をかけない方法など、詳しくは【公務員の退職手続き】転職活動の開始から退職願の提出までの流れで解説しています。
転職活動を始めた後もスムーズにはいかず、書類選考すら通過しないこともあります。書類作成のポイントをまとめると、以下の2つです。
- 乗り越えてきた課題と実績を明確にする
- 業務遂行のための能力や知識を明確にする
詳しくは【改善策2つ】転職の書類選考で落ちるときにすべきことで紹介しておりますので、気になる方はご覧ください。
転職エージェントがオススメな理由と進め方

公務員の方は学生時代には公務員試験一本で、民間企業への就職活動をしなかった人が大半なのではないでしょうか。
私も学生時代、公務員しか就職先として考えてませんでした…
就活でも経験がないから、転職をしようと思ったとき、どうやって進めたらいいのか分からないんだよね…
転職活動が初めての方に向けて、転職サイトもエージェントも使った私の経験から、
を詳しくご紹介します。
転職サイトと転職エージェントの違いとは?

転職活動を始めるとき、多くの公務員の方が最初に迷うのが「転職サイトと転職エージェント、どっちを使えばいいの?」という点です。
特に初めての転職で不安が大きい公務員の方には、リクルートエージェントなどのサポートの手厚い「転職エージェント」が圧倒的におすすめです。
両者の違いをまとめた表がこちらです↓
📌 両者の違い(比較表)
項目 | 転職サイト | 転職エージェント |
---|---|---|
求人検索 | 自分で探す | 担当者が提案してくれる |
求人提案とその精度 | ✅ ある(自動、やや粗め) | ✅ ある(担当者による手動+自動) |
スケジュール調整 | ❌ 自分で対応 | ✅ エージェントが対応 |
キャリア面談 | なし | あり(電話・ビデオ面談) |
応募書類添削&面接対策 | ❌ なし | ✅ あり |
エージェントとの相性 | ✅ 人が介在しないので気楽 | △ 合わない人が担当になることも |
条件交渉代行 | ❌ 自分で対応 | ✅ 担当が代行 |
こんな人におすすめ | ・自力で探したい人 ・エージェントとのやりとりが面倒くさい人 | ・初めての転職で不安な人 ・公務員経験しかない人 |
転職エージェントとは、最初に面談があるのが面倒だけど、そこでどんな仕事がいいか聞き取ってくれるんだよね
このヒアリングがあることで、そのあとエージェントが紹介する求人が、自分の興味に一致したものになりやすいよね
転職サイトの求人提案は自動マッチングですが、やや精度が粗めと感じました。自分がやりたいなと思っていた職種と違う求人が届くことも多いです。
一方で、転職エージェントは面談を通じてあなたの志向や希望を細かくヒアリングし、それに合った求人を紹介してくれます。ヒアリングはZOOMなど、平日の夜などにビデオ会議でやってくれます。忙しい方でも時間をかける価値はあると感じました。
転職活動はどんな流れで進めるのか?【転職エージェント登録〜退職まで】

転職エージェントを活用すれば、以下のような流れで転職活動をスムーズに進めることができます。
- 転職エージェントに登録
- キャリア面談(希望条件の整理・志向の把握)
- 求人紹介(あなたに合った非公開求人も含む)
- 応募書類の作成・添削
- 面接日程の調整・面接対策
- 内定・条件交渉
- 退職のタイミング相談・引継ぎアドバイス
困ったら転職エージェントがアドバイスしてくれるので、初めての転職でも安心して進められます
私が使った転職エージェント3社とオススメ【体験談】
私が実際に使った転職エージェントは以下の3社。このなかでオススメできるのはリクルートエージェントとDODAです。オススメできる理由は、求人数が多いことと、転職を急かされなかったことです。
エージェント名 | 求人数 | 備考 |
リクルートエージェント | 約98万 | 公務員から転職する時に使用 |
DODA | 約25万 | 2回目の転職活動で使用 |
エンエージェント | 約8万 | 2回目の転職活動で使用 |
3社の転職エージェントについて、電話やメールなど連絡の仕方、担当者との相性など、良い点も悪い点も含めて以下の記事で紹介しています。どの転職エージェントを使おうか迷っている方にとって、お役に立つ記事です。

まとめ|公務員でも安全に転職活動はできる。焦らず戦略的に動こう

国家公務員・地方公務員問わず、在職中でも転職活動を進めることは法律上問題ないです。以下の対策をすれば、上司や同僚にバレるリスクもほぼゼロに抑えることができます。
- 家族以外、誰にも転職活動していることは伝えない
- 飲み会の場では飲みすぎないようにして、失言を防ぐ
- 転職サイトのチェックや転職エージェントとの連絡は昼休みは行わない。退勤後か土日に限る
- 面接はできれば土日、それが無理なら平日の18時以降にセット
初めての転職の場合、リクルートエージェントなどの転職エージェントの活用がオススメです。昼間に自分が働いているうちに求人を探してくれ、メール等でお知らせしてくれます。それだけでなく、書類の添削、面接対策、退職交渉まで幅広くサポートしてくれます。しかもこれらは全て無料で受けられるサービスです。
転職エージェントへの報酬は、転職が成功したら内定先の企業が支払ってくれます
だから転職希望者は無料でこのサービスが受けられるのね
「転職活動が禁止されているのでは?」「バレたらどうしよう」と悩んでいるあなたも、転職エージェントやサイトへの登録ならスマホ上で10分もあれば終わります。なんでも良いので、まずは小さく行動してみてください。
初めての転職で何もわからない状態からサポートいただけました
リクルートエージェントなら求人数も多いですし、転職エージェントを使ったことがない人なら、まず大手の転職エージェントから使ってみるのがオススメです。
「自分には合わないな」と思ったら別の転職エージェントに登録すればOKです
あなたの人生が転職によって楽しく、充実したものになることを願っています。
それでは、また。

