公務員を10年勤めてから、30代半ばで民間企業へ転職したユウキです。
公務員の仕事が好きになれず、転職したい方への参考になればと思い、ブログを書いています。
私が公務員をやめた理由など、自己紹介はこちらの記事にまとめていますので、もしご興味あればご覧ください。
この記事では、私が公務員から転職したいと伝えたときに良く言われた、
「公務員から民間へ転職するなんてもったいない」
「公務員でいたほうが良い」
という世間の意見に対して、公務員と民間、両方を経験した立場からお話させていただきます。
結論としては、以下の2点です。
- ・公務員を辞めるのは全くもったいなくない
- ・もったいないのは公務員の仕事ではなく、あなたの人生
「もったいない」って言ってくる人は公務員の労働環境を知らない人なんですよね……
自分の労働環境を一番知っているのは自分だから、他の人がなんと言おうと聞き流してOK!
この記事で分かることは次のとおりです。
- 「公務員辞めるのもったいない」と言われれても無視でOK
- 公務員を辞めたほうが幸せになれる人もいる
- 公務員から民間企業へ転職するコツ3つ
- 公務員を続けるのもデメリットがある
2023年の1年間だけで、約62,000人の公務員が普通退職(定年退職、勧奨退職以外)している時代です。あなたが公務員を辞めたいと思うのも珍しくありません。(総務省 令和5年度地方公務員の退職状況調査)
この記事を読めば
- ・公務員を続けるべきかモヤモヤ悩んでいる頭が整理され
- ・公務員の実態を知らない人の意見は聞く価値がないと気づく
ことができますよ。
公務員を辞めるのがもったいないと言われる3つの理由

大手通信教育会社Benesseの2020年の調査では、高校生がなりたい職業ランキング第1位が「地方公務員」。
公務員と言えば安定した仕事。「公務員を辞める」と伝えるともったいないと言われることも多いですよね。
辞めるともったいないと言われる理由は、以下の3つ。
公務員と民間企業、両方を経験した立場から、それぞれ詳しく解説していきますね。
理由1:解雇もなく、毎年昇給も見込める

会社がなくなることがあっても、公務員の職場がつぶれることはほぼありません。公務員は民間企業に比べて安定した職場と言えますね。
不祥事などを起こさなければ解雇もなく、頑張らなくても毎年給料が上がっていきます。
自分が40歳、50歳になった時の給料がだいたい予測できるのが良いところだね
マイホームをローンで買う時とか、給料の見通しがつくと安心できるわね
ただ、「つぶれない組織」でもあなたがつぶれることなく、ずっと働き続けられるとは限りません。
私のまわりでも
- ・心の病
- ・身体の病気
- ・パートナーの転勤
などが理由で、しかたなく公務員を辞めていく人を何人も見てきました。
組織がなくならなくても、自分が公務員を続けられなくなる可能性はあります。
公務員として働けなくなることも考えると、安定しているか微妙ですね……
理由2:公務員になれるのは選ばれた人

公務員になれるのは「選ばれた人」だけ。公務員試験に合格しなければなりませんからね。
- ・学生時代の1年間を公務員試験に使い
- ・倍率5倍以上の難関試験を突破して
ようやく公務員として働き始められます。
公務員になるのが大変だったから、辞めるのがもったいない……
あなたが公務員を続けるかどうか決めるのに、公務員になるのがどれだけ難しかったかは、一度忘れたほうがいいです。
どんな人生を過ごしたいのかを考えて、転職するかを決めたいね
「辞めるのはもったいない」と考える前に、あなたは公務員の仕事が好きですか?
あなたが30代なら、これから30年、40年と公務員の仕事を続けることになります。一度辞めると公務員に戻れないからという理由で、嫌いな仕事を続けるのは苦しくないでしょうか?
私は自分が死ぬときに
「公務員を辞めて転職すればよかった……」
と後悔するのが嫌でした。
転職してから7年目ですが、
- ・家族とも毎日話す時間がある
- ・貯金も毎年60万円以上
という生活ができています。
転職で人生の満足度が上がりました!
転職した今の生活は「【体験談】公務員から民間への転職はきついのか?結果→仕事が楽しく&残業激減」で詳しくご紹介しています。
転職したあとの生活が不安な方は読んでみてください。
理由3:ノルマもなく、ラクな仕事だと思われている

公務員についての世間のイメージは、以下のとおりです。
- ・ノルマもない
- ・定時で帰れてラク
- ・仕事内容がルーティン作業でラク
私が公務員として10年以上働いていて気づいたのは
- ノルマはないが、業務量が多すぎて深夜まで残業
- 定時で帰れる人はほぼゼロ。深夜までみんなよく働く
- 業務量は増えるのに人は減らされ、辛い未来しかない
という公務員の現実でした。
民間に転職してみたら、公務員のほうがよほどブラックな職場だったよね……
公務員の労働環境を民間の友達に話したら、ひどい環境に絶句してたね……
公務員は忙しい職場が多いのに、人は減らされる一方。
これから仕事がラクになる気配がまったくない……
業務効率化をしようと思っても、
- ・法律や条例で変えられない
- ・変化を嫌う上司が改善アイデアを却下
など、自分で労働環境を変えようと思っても難しいのが公務員の現状。
また、公務員が民間に比べてラクなんてことはないです。実際、私はこれまで経験した民間企業2社のほうがずっとラクでした。
私の場合、民間への転職後は以下のように、労働環境が大きく改善しました。
- 残業時間:月平均80時間→20時間
- パワハラ:ほぼ毎日怒鳴られる→怒鳴る人が誰もいない職場
- 通勤時間:1時間以上→0分(フルリモート勤務)
体がラクになり、子供と遊ぶ体力も十分ありますね。
公務員を辞めた後の生活を知りたい方は、別の記事「【実体験】公務員から転職してよかった!後悔は3つだけ」を読んでいただければ幸いです。
公務員を続けるメリット・デメリット

「公務員を辞めるべきなのか?」を考えるには
- ・公務員を続けるメリット
- ・公務員を続けるデメリット
をそれぞれ比較すると頭が整理できます。
公務員を辞めて得られるメリットが、公務員を続けるメリットを上回れば転職すればいいですよね。
わたしが考える公務員を続けるメリットとデメリットは、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきますね。
1. 公務員を続けるメリット

公務員を辞めるときに「もったいない」と感じてしまう、公務員のメリットは以下のとおりです。
1.1 クビにならない
公務員の一番のメリットは解雇の心配がほとんどないこと。
支える家族がいる人にとっては最大のメリットですよね。
- ・子供の教育費
- ・住宅ローン
- ・老後の資金
など、長期的な計画を立てやすい環境が整っています。
1.2 給料が右肩上がりで安定
公務員の給料は年齢とともに上がっていき、安定した収入が期待できます。
若い頃は同世代と比べても高くはない給料も、40代、50代になると順調に上がっていくのが特徴です。
総務省の令和4年度 地方公務員給与調査によるとによると、経験年数別には以下のとおりです。

右肩上がりで給料が上がっていくのが分かりますね
業績に左右される民間企業とは異なり、定期的な昇給が期待できます。将来の不安を少なくできるのは大きなメリットですよね。
1.3 民間ではできない仕事ができる
公務員の業務分野は、採算がとれなくて民間企業ではできない
- ・社会インフラ(水道、道路など)の建設&維持
- ・ゴミなどの廃棄物処理
- ・子供や高齢者向けの支援事業
など、社会の根幹を支える仕事を担っています。
「人の役に立ちたい」と思って公務員になった人にとっては、地域社会や国のために直接貢献できる仕事は、大きなやりがいを感じるものです。
2. 公務員のデメリット

給料も安定的に上がっていき、社会への貢献度も高い公務員。一方でデメリットも多くあります。
公務員を続けるデメリットは、次の3つです。
2.1 厳しくなる一方の労働環境
世間の「楽で良いなぁ、公務員は」というイメージとは異なり、公務員の労働環境は年々厳しくなっています。
どの県、市町村も財政が厳しいため、人員は減り続けて一人あたりの業務量が増える一方です。
一人でいくつもの事業や補助金の担当になることもあるよね……
少し前なら2人くらいでやっていた仕事を今は1人がこなしていることも……
そんな状況なので
- ・毎日21時過ぎまで残業
- ・家に帰るのは家族が寝てから
- ・休日も地域の行事やボランティアに強制参加
など、家庭がある人にとっては大きなデメリットですね。
2.2 専門性が身につかない
公務員は3-4年ごとに部署異動し、民間でも使えるような専門性が身につきません。
「この分野がやりたい!」と思っても必ず異動になり、全く関係のない分野に行くことも多いですよね。
市役所に勤めてる友達、農政課から子育て支援課に行ったな……
転職したくらい、仕事内容や知識が変わって大変そうだよね
公務員から転職したいと思ったとしても、民間企業に「これが出来ます」と言えるような専門スキルが磨けないこともデメリットですね。
2.3 頑張りが評価されない
公務員はいくら頑張っても、昇進も給料などの分かりやすい形で報われづらいです。
暇な部署で毎日定時で帰っている同期と比べると、以下のやる気がなくなる現実が見えてきます。
- ・基本給は増えない
- ・予算がなければ残業代も払われないことがある
- ・年功序列なので同期より早く昇進することもない
頑張ってもバカみたいだよね…
年齢が上であるという理由だけで給料が高い人がいるのも「頑張っても評価されない」と思ってしまう理由の一つ。自分も残業で月90時間を超えていたとき、人の仕事にケチをつけるだけで何も作業しない50代の方がいました。
自分より給料が月15万円も給料が多くて、絶望しかありませんでした……
いくつも業務こなしてるのに、働かないオジサンより給料が低いのも許せない!
役職に関しても、民間企業では成果を出す人と出さない人で差をつけています。民間ではデキる人を早く昇進させ、仕事しない人の役職はそのまま。
そうしないと、会社の業績が上がらず、会社がつぶれてしまいますからね……
私が転職した会社も、自分より入社年が低い方がすでに部長(私の2階級上)になっていたりします。
「自分の努力や成果を評価してほしい」
「仕事ができない人は昇進させないでほしい」
と強く思う人には公務員は辛い職場になってしまいますね。
実際に転職してみて感じた公務員を辞めるメリットとデメリットについては、過去記事「【実体験】公務員から転職してよかった!後悔は3つだけ」でご紹介しています。
- ・職場の人間関係
- ・ワークライフバランス
- ・収入が減っても貯金ができるのか
など、転職後の生活が不安な方は読んでいただければ、生活イメージがつくかと思います。
公務員から転職するための3つのコツ

公務員から転職するためのコツは次の3つです。
- 公務員在職中に内定を獲得する
- 公務員として身に付けた能力をアピールする
- 友人や転職エージェントの人の助けを借りて転職活動をする
初めての転職は誰でも不安なもの。
本業がある中、限られた時間で転職活動を成功させる必要があります。
他の人の力を借りながら効率的に行う方法については、こちらの記事「【30代でも可能】公務員から転職したいあなたの5つの不安への回答」で詳しくご紹介しています。
それでも公務員を辞める勇気が出ないあなたへ

「公務員を辞めたほうが良いのは分かっている……」
「それでも公務員に戻れないかと思うと、公務員を辞める勇気が出ない」
「公務員はそれなりに恵まれているし、転職して条件が悪くなったら後悔しそう」
公務員を辞めるのってとても勇気が必要ですよね。
私も悩みながら11年も公務員を辞められなかったので、気持ちはよく分かります…
そんなあなたに考えてほしいのは、公務員を続けるとこんな未来が確実にやってくるということ。
- ・自分の興味と関係なく異動がある
- ・他人にキャリアを決められてしまう
- ・公務員を辞めても生きていけるスキルが身につかない
公務員を続ける方が、転職するより恐くなってきませんか?
たしかに公務員を続けることも怖くなってきたな……
スキルがあればどこでも雇ってもらえる!そういう状態が「本当の安定」なんじゃないかな
上記のデメリットを受け入れて公務員を続ける人生。
公務員ほどの安定がなくても、自分のやりたいこと、稼げるスキルが身に付く人生。
あなたがたった一度の人生で選ぶのはどちらでしょうか。
「自分が死ぬときに後悔しない人生はどっちだろう?」と考えた結果、私は公務員を辞めて自分が楽しいと思える仕事に転職しました。
公務員を辞めて7年目ですが、転職してよかったとずっと思ってます
総務省 令和2年度 地方公務員の退職状況等調査によると、30代以上で公務員を普通退職する方が65.2%と、多数派ということが分かります(下記グラフ参照)。

20代じゃなくても転職できる証拠ですね
ただし、公務員から転職したほうが良いかどうかは人によります。
あなたが転職したほうが良いタイプかどうかは「公務員を続けるべきか【転職したほうが良い3つのタイプ】」でご紹介しています。
もし自分が転職すべきなのか分からないとき、公務員を辞める勇気が出ないときに読んでみてください。
【まとめ】公務員を辞めるのはもったいなくない

公務員を辞めるのはもったいなくありません。
本当にもったいないのは、好きでもない公務員の仕事にあなたの人生を使ってしまうことです。
周りの人は「公務員辞めるなんてもったいない」と言ってきますが、あなた以上に公務員の悲惨な現状を知る人はいません。あなたがどれだけ辛い思いをして公務員の仕事をしているのかも知りません。
事情を知らない人に何を言われようが無視でOKです
ただ、公務員をいきなり辞めるのはオススメできません。辞める前に具体的に次の4つのポイントを考えましょう。
- 自分は公務員を辞めて何をしたいのか
- 公務員の何が嫌いなのか(働き方なのか、仕事内容なのか)
- 自分の生活費にいくら必要なのか
- 転職サイトでやりたい仕事が見つかるのか
「公務員を辞めたい」と思っても、必ず転職先を決めてから退職を伝えるようにしましょう。
その理由は内定率が低く、転職先が決まるか分からないから。
一つの企業に100人応募があれば、
- ・書類選考を通過するのは30人
- ・一次面接を通過するのは9人
- ・最終面接を通過して内定を得るのは4~5人
(データ出典:マイナビ)
とのこと。
最終面接を通過するのは4%~5%だけってことだね……
内定をもらえる確率は低いから、働きながら転職活動をするのが必須ね
大手のリクルートエージェント、DODAなどの転職エージェントは完全無料でネットですぐ登録できて、求人が確認できます。
私は2回目の転職活動でリクルートエージェント、DODA両方を使っていますが、毎日数十通の求人がメールで来ます。
登録だけなら電話もかかってきませんし、無料なので登録しないと損です
転職エージェントとの面談がめんどくさい方は、面談なしでも使い始めることができます。
ただ、私は面談を早めにすることをオススメします。リクルートエージェントなどの転職エージェントと面談することで、以下のメリットがあるからです。
- 自分の興味や関心、能力を伝えられる
- 転職エージェントがあなたに合わせた求人を紹介しやすくなる
- 人に話を聞いてもらうことで、自分のキャリアを考えやすくなる
私が実際に使った転職エージェント3社の比較は、「【30代公務員】使ってみた転職エージェント3社メリット&デメリット」にまとめています。
どの転職エージェントにするか迷っている方のお役に立つかと。
自分の人生を決めるのは自分だけ。
考え抜いて、公務員として働き続けるのもアリです。
ただその前に、公務員以外の選択肢を知っておいて損はない。
少しでも好きな仕事、興味の持てる仕事をすることで、人生がきっと楽しくなるはず。
あなたの人生が転職によって楽しく、充実したものになることを願っています。
それでは、また。


