公務員が転職を考えたとき、最初に悩むのが「履歴書と職務経歴書の書き方」ではないでしょうか。
履歴書なんて就活の時が最後で、書き方すら忘れちゃった…
履歴書だけじゃなくて、職務経歴書っていうのも作らなきゃいけないらしいんだけど、どうやって作ればいいの?
公務員になった方々は就活のときに公務員一本に絞り、民間企業への就職活動をほとんどしなかった方も多いですよね。だからこそ、余計に不安なのではないでしょうか。
私も新卒時は公務員に絞っていたため、民間企業への応募はほぼ経験がありませんでした…
そして、民間企業への転職では、これらの書類を作り込まないと書類選考で落とされ、面接に進むことすらできません。しかし、公務員経験をどのように民間向けにアピールすればよいか迷う方も多いはずです。
民間企業の面接官がどういう視点で書類をチェックしているかも分からないし、どうしたらいいんだろう
そんな民間企業への転職を目指す公務員向けに、この記事では次の3つのポイントを解説していきます。
初めての転職でも安心して進められるよう、具体例を交えてわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
履歴書はフォーマットどおりにミスなく書くだけでOK
この記事にたどり着いてくださった方は「転職の履歴書をどうやって書いたらいいの?」という悩みを持っているかと思います。ただし、社会人経験を経て転職活動をする場合、重視されるのは履歴書ではなく、職務経歴書です。
履歴書はフォーマットが決まっていて、その人がどのような仕事をしてきたか分からないもんね…
厚生労働省のホームページに履歴書のフォーマットは用意されているので、こちらを使用すれば問題ないです。ExcelとPDFの両方がダウンロードできます。記載項目は以下のとおりで、順番に埋めていくだけです。
- ・氏名
- ・住所と連絡先
- ・学歴と職歴(詳細な説明は不要)
- ・免許及び資格
- ・志望動機(スペースが少ないので職務経歴書の要約でOK)
- ・希望記入欄(勤務時間、勤務地など)
履歴書は職務経歴書に比べて力を入れるべきものではありませんが、転職関係の書類では表紙のようなもの。公務員から民間企業へ転職活動をする方へ伝えたいポイントは以下の3点です。
- ・履歴書は誤字脱字がないようにチェック
- ・手書き指定がなければパソコンでの記載を推奨
- ・資格欄を埋めるためだけに資格を取得する必要はない
転職活動で本当に差がつくのは「職務経歴書」です。
ここからは、あなたの魅力を最大限に伝えるための職務経歴書作成について解説していきます。
公務員から民間企業へ|職務経歴書の正しい書き方
基本フォーマットと構成の流れ
職務経歴書の一般的なフォーマットは、次の順番で構成されます。
- 職務要約(これまでの経験をコンパクトにまとめる)
- 職務経歴(時系列で具体的に業務内容を記載)
- 活かせる経験・スキル(応募先企業で活かせるポイントを明示)
- 自己PR(強みや成果を簡潔にまとめる)
公務員の職務内容もこの流れに沿って整理すれば、民間企業の採用担当者にも伝わりやすい職務経歴書を作成できます。
採用担当者は職務経歴書で「あなたが工夫したところ」を見ている
採用担当者が職務経歴書で注目するのは、「この人はうちの会社で活躍できるか」という点です。
単なる仕事内容の羅列ではなく、「自分がどのように工夫し、どんな成果を出してきたのか」を具体的に書いていると、高く評価されます。また、職務経歴書に入れる具体的なエピソードから「主体性」「課題解決力」「コミュニケーション力」なども読み取れるように記載してください。
主体性や課題解決力は公務員として働きながらでも発揮できるものだね
公務員の世界で自分がどのように工夫をして、仕事をしてきたかを具体的に書けばOKです
職務経歴書に入れる具体的なエピソードは次の流れで記載するのがオススメ。この流れだと、公務員経験のない面接官にも「あなたがどのような工夫をしてきたか」が伝わりやすいです。
- 課題
- 具体的な検討内容や手段
- 成果
私が職務経歴書に書いていたエピソードのうち一つは、公共工事を担当していたときのこちらの例です。
<課題>
・事業により利益を受ける地域ではない地域に工事の対象となる既設の水路があり、工事により騒音や振動等の影響を受ける住民が事業を理解しておらず、協力的でなかった。<具体的な検討内容や手段>
・まずはこちらの主張をするのではなく、最初に相手の意見を聞き、相手の立場に立って考えたのちに、工事の説明をするように心掛けた。また、特に工事の影響を強く受けると思われる住民の方には、定期的に訪問し、工事による日常生活の支障は生じていないか確認した。<成果>
・工事に関わる地元説明では、地域住民の方に説明に伺う前に、事業の目的から歴史的な経緯、また工事によってどのような問題が発生しうるのか施工業者と打ち合わせをするよう心掛けた。
・このおかげで、質問や苦情が来ても慌てず、まずは相手の話を聞いた上で、相手の心情に理解を示すとともに、事業主体としての説明を丁寧にするようにした結果、最初は話も聞いてくれなかった地域住民の方と工事に関する不満や意見を共有してもらえるまでになった。
「公務員としてやる仕事で、面接でアピールできる経験なんてないよ…」と思いがちですが、行政の仕事でも自分なりに工夫した点はあるはず。
「転職したい」と考え始めたら、日常の仕事のなかで、面接でアピールできるポイントを探していきましょう
公務員の仕事が嫌でも、転職のためのエピソードを貯めていると思えば気がラクになるはず
自分の業務実績を「数字」で説明する
自分の仕事をよく知らない人に説明するとき、「数字」は大きな力を持ちます。数字があることで、役所内の調整先や市民の方への説明がしやすかった経験がある人も多いのではないでしょうか。
転職を目指す面接でも数字は強力な武器になります。そして、公務員でも工夫次第で実績を数字で示すことが可能です。
例えば「担当業務の年間予算額」「問い合わせ対応件数」「改善による業務時間短縮率」などは数字で示せる代表例です。
単純に「頑張った」「成果を出した」と言われるよりも、数字と一緒にアピールしたほうが伝わりやすいですよね
職務経歴書の実績には、できるだけ具体的な数値を盛り込んでいきましょう。
数字で示せる実績がない場合、どうアピールするか
「業務の性質上、数字で説明しづらい…」
明確な数値が出しづらいそんな場合でも、「問題点をどう見つけ、どのように改善を試みたか」というプロセスを丁寧に伝えることで十分にアピール可能です。
例えば、「住民対応で苦情件数を減らすために、マニュアルを整備し、職員間で共有する仕組みを作った」など、成果だけでなく取り組みの工夫や姿勢をしっかり伝えましょう。
面接では自社で活躍できるかどうかを面接官は見ているんだよね
数字がなくても、公務員としてどのようなプロセスで仕事をしてきたか、分かれば評価してくれる企業も多いです
公務員としての経験、自信を持って書いてください
公務員が職務経歴書で注意すべきポイント2つ
ここまでは公務員に限らず、転職する場合の職務経歴書の書き方を説明してきました。ここからは公務員から民間企業への転職をめざす場合の注意点について、2つのポイントに絞って説明していきます。
それではそれぞれ詳しく説明していきますね。
公務員特有の専門用語や表現を避ける
公務員の仕事では「条例」「要綱」「補助金交付要領」など、独特な専門用語が日常的に使われます。しかし、これらの用語は民間企業の採用担当者にはなじみがない言葉ばかりです。
一般的ではない用語を使うと「わかりにくい人」という印象を持たれてしまうよね
採用担当者からすると「相手のことを考えずに話す人」と判断され、それだけで落とされることもありそう
相手に分かるように説明するのは公務員も民間の世界も同じです。できる限り簡単な言葉に言い換え、誰が読んでもすぐに理解できる表現を心がけましょう。
「民間で通用する人材」であることを自然に伝える
民間企業が重視するのは「自分から考え、行動できるか」という点です。公務員として働いたことしかなくても、このような人であれば民間企業でもすぐ活躍できるようになります。
自分がやっている仕事のなかでも、「自分で考え行動を起こした例」はきっと見つかるはずです
職務経歴書では、自ら考えて行動するエピソードのほかにも、「変化への適応力」「スピード感のある対応」「チームで成果を出す力」など、民間でも求められる能力や実績をアピールしましょう。
公務員だと異動するたびに大きく業務が変わって、今まで培ってきた知識がほとんど次の職場に通用しないってこともあるよね…
そのたびに新しい仕事を覚えてきたのは「変化への適応力」を示す証拠になるね!
公務員と民間企業では確かに業務スタイルは異なりますが、私の経験では公務員時代に培った「調整力」「折衝力」「根気強さ」「事務処理能力」などは、民間でも十分に活かして仕事ができています。むしろ、行政を顧客として仕事をしている会社や、コンプライアンス重視の業界では、公務員出身者の強みが求められるケースも増えています。
今の会社も、私が知っているだけで公務員出身者が5名います
行政で培った基礎力で仕事を上手に回しているね
「公務員の経験は民間では役に立たない」なんてことはありません。自信を持って、経験をポジティブに伝えていきましょう。
まとめ|履歴書と職務経歴書を整えて、転職活動を成功させよう
この記事では、公務員から民間企業への転職を目指す際の履歴書と職務経歴書の書き方について解説しました。履歴書と職務経歴書に関するポイントは、次の4つです。
- 履歴書は「最低限の要件を丁寧に満たす」だけで十分。
- 自分をアピールするのは職務経歴書
- 職務経歴書では、単なる業務の羅列ではなく、「事実+工夫+成果」の形で経験を整理し、あなた自身の強みを具体的にアピール
- 公務員の仕事でも民間企業に活かせるスキルや経験はある。それを職務経歴書で言語化しよう
上記を意識して日々の業務を言語化し、「民間企業でも活躍できる」イメージを持ってもらえる職務経歴書を作りましょう。
職務経歴書を作ったけど、誰かに見てもらって改善したい…
そんなニーズもありますよね。私も自分では気づきにくい職務経歴書の改善ポイントがいくつもありました。
特に初めての転職活動では、民間企業の目線に合わせた表現やアピールのしかたに迷うので、書類選考に通るのにも苦労します。
公務員しか経験のない自分じゃ気付かない、民間企業にとってのポイントを知りたい…
そんな民間企業の視点を得るためにおすすめなのが、転職エージェントの利用です。求人の紹介だけでなく、職務経歴書の添削やアドバイスを通じて、あなたの魅力を最大限引き出すサポートをしてくれます。第三者の視点を取り入れることで、より完成度の高い職務経歴書を作成が可能です。
公務員から初めての転職ではリクルートエージェント、2回目の転職はリクルートエージェントとDODAの2社を利用しました
私が使っていた転職エージェント2社は、書類添削や面接対策も手厚くサポートしてくれます。
特に初めての転職活動では、自己流で進めるよりも、プロのアドバイザーの力を借りたほうが成功確率が格段に上がります。
この記事が、あなたの転職活動の不安を少しでも軽くし、
「公務員経験しかない自分は民間には転職できない…」と諦めるのではなく、「公務員の経験で民間企業でも活躍できる」と思えるきっかけになれば幸いです。
それでは、また。

