「公務員から転職して後悔していませんか?」公務員を辞めた後、30回以上、この質問をされました。
私は30代で国家公務員を辞め、民間企業に転職しました。その企業に5年勤めた後、さらに転職し、今の職場に勤めてちょうど1年が経ちます。
結論から言うと──私は公務員を辞めたことは後悔していません。むしろ、“人生を自分で選んでいる”という感覚を持てるようになりました。
ただし、公務員を辞めたことは後悔はなくても、「最初の転職先のほうが良かったかもな…」と思うこともあります。でもそれらのマイナス面を全て含めても、2回目の転職をして、トータルでは良かったと感じています。
本記事では、私の2回の転職経験談とともに「後悔しなかった理由」「しそうになった瞬間」「再転職に至った背景」まで、正直にお伝えします。
公務員を辞めようか悩んでいるあなたの不安を、少しでも軽くできたら嬉しいです。
- 公務員を辞めたことに後悔がない理由
- 転職しても全てバラ色になるわけじゃない
- 「転職して失敗した」と思ったらもう一回転職すれば良い
2回目の転職から1年。今の職場に後悔していない理由

私は7年前に公務員を辞めたあと、2度目の転職を経験し、今の職場で働き始めて1年が経ちました。
今のところ、2回目の転職をしてよかったと思っています。後悔も少しはありますが…
ここでは、2回目の転職してよかったと思う点、そのあとに少し後悔している点を記載していきます。
より自由な働き方&少ない残業時間

現在の職場はフルリモートワークも可能で、対面の会議がなければ一週間ずっと在宅で仕事をすることもあります。さらにフレックス勤務が導入されており、好きな時間に働けますね。
前職のベンチャー企業より、さらに自由な勤務形態だね
とはいえ寂しがりなので、同僚と雑談をしたり、ちょっとした情報交換のために週1くらいは出社してます
私の会社には小さいお子さんの育児、ご両親の介護など、事情を抱える方も多くいます。在宅ワーク&フレックス勤務だと、子どもや親を保育園やデイサービスなどに連れて行く時間も融通しやすいようです。
残業時間も月平均で9時間くらい。繁忙期はありましたが、前職が月20時間くらいだったので、さらに身体がラクになりました。
公務員のときは月平均60時間以上だったから、相当残業が減りました
給料大幅アップ&上がっていく見込み

今の会社は業績が良く、ここ数年は過去最高水準の利益をあげています。そのおかげもあって、給料は以下のとおり改善しました。
- 前職に比べて年収30%アップ
- 賞与は年間平均で月給の5ヶ月分以上
- 入社年数に応じて、毎年必ず昇給
- 管理職になったら年収1,000万円以上
前職の企業は業績が良くなかったため、毎年の昇給はない年もありました。ボーナスも年間で1.5ヶ月分くらいでしたね。
会社が儲かってないと、従業員に払う給料も増えないから仕方ないよね
転職するなら業績がよい(=利益が出ている)会社をオススメします
ここまでは2回目の転職で良かった点ばかり書いてきました。でも正直に言うと、「前職のほうがよかったな」と思うところもあるので、次から何点かお伝えします。
前職に比べて悪化した点

前職がベンチャー企業で、30代以下が中心の自由な雰囲気の会社でした。一方、今の会社は割と歴史のある企業で年齢層も20代から60代まで幅広くなっています。
その違いからか、以下の2点が「正直、前職の方が良かったな…」と後悔している点です。
それぞれ前職と今の会社を比べながら解説していきます。
同僚と話しづらい

前職が自分と同年代が中心のベンチャー企業だったため、とにかく周囲と話しやすかったです。気軽にランチに行ったり、飲みに行ったりしても共通の話題が多く、仲良くなることも多かったんですよね。
今の会社は「普通の会社」という感じで、年齢が上の方々もたくさんいるよね
だからなのか、みんなお互いにすごく丁寧な言葉づかいで、逆に疎外感があります…
今は入社してまだ一年しか経っていないということもあるのですが、仲が良いと言える人はまだいません。
転職したら人間関係はリセットされちゃうから仕方ないよね
飲み会の機会もあまりないので、出社した時に少しずつ話せる人を増やしていこうと思います
自分の仕事が役に立っている感覚が減った

今の会社では、商品の買い手は法人(他の民間企業)なので、イマイチ自分の仕事が役に立っている実感がありません。「ありがとう」と言われることも前の会社よりずっと少なくなってしまいました。
他人から感謝される頻度は、公務員だったころに近くなってしまいました
前の会社では自分の仕事が誰の役に立っているかが見やすく、やりがいを感じやすかったです。自社商品を直接お客様に売るので、「ありがとう」と言われることも多かったです。
クレームもあったけど、「ありがとう」と言ってもらえるたびに力が湧いてきました
公務員だったときには文句は言われたことはあっても、「ありがとう」と言われたことはほぼなかったよね…
誰かの笑顔や感謝でやる気が出てくる人は、個人のお客様を相手に商品を売る仕事がオススメです。具体的な業種で言うと、小売業、飲食業、サービス業などですね。
このあたりの希望もリクルートエージェントなどの転職エージェントに伝えると、それに応じた求人を紹介してくれるようになりますよ。
私が公務員を辞めた理由はこちらの記事「私が30代で公務員を辞めた3つの理由」に詳しく書いています。興味があればこちらをご覧ください。
最初の転職でも不安やギャップはあったが、後悔はしていない

最初の転職では公務員から民間企業への転職でした。その時も不安やギャップは感じましたが、公務員を辞めたことに対する後悔は一切ありませんでした。
公務員が違う部署に行くのとは比べ物にならないくらい、働き方や職場の雰囲気が大きく変わりました。良い点も悪い点も含めて、ギャップをお伝えしていきます。
働き方・文化の違いに驚いた瞬間
働き方で一番驚いたのが、定時になったら本当に人が退勤していくこと。定時から1時間くらい経ったら、オフィスには30%くらいの人しかいなくなっていました。
帰っていく人にも罪悪感みたいなのがなさそうで、正々堂々と帰ってたな
「残業している人が偉い」じゃなくて、「定時で終わらせられる人が偉い」っていう文化なんだよね
私の初めての上司も定時になったら即帰っていました。共働きで、お子さんもいらっしゃったので、定時の中で終わらせることを常に考えていたようです。
気兼ねなく帰れる文化が、公務員時代と一番異なる点でしたね。
私も19時前には退勤していました。毎日早く帰れるのがホント嬉しかったです
「本当にこれで良かったのかな…?」とよぎった場面
給料面が一番「転職してよかったのかな」と考えてしまうことが多かったです。特に会社の利益がない状況で、自分の成績も良くなかった時に、「昇給はゼロ」と言われることが何度かありました。
生活できるくらいの給料はありましたが、頑張っても昇給ゼロはショックでした…
それでも成績が良ければ、給料が上がることもありました。また、自分で決めた転職でしたし、私も妻も派手な生活はしないので、生活に困ることはありませんでした。
それでも後悔しなかった理由

最初の転職では給料面や会社の将来性など、心配になることも多かったです。それでも後悔していなかったのは、次の理由からです。
- 残業が公務員時代の1/3に(60時間→20時間)
- 毎日晩ごはんを家で食べれる人間らしい生活
- 転勤がなく、家族といっしょに定住できる
- 自分のキャリアを自分で決められるようになった
- 仕事に意味、やりがいを感じられるようになった
子どもも小さく、お金もあまりかからない時期だったので、貯金も毎月できていました。少し心配なことはあっても、「転職して良かった」と毎日感じてましたね。
公務員から転職してよかった点は、以下の記事にまとめています。良くなった点だけでなく、給料ダウンなどマイナス面もまとめていますので、転職後の生活が気になる方はこちらの記事を読んでみてください。

2回目の転職を決めた理由と決断までのプロセス

2回目の転職をしようと考えたキッカケは、
- 上がっていく生活費や教育費に給料のアップが追いついていかない
- 自分のやりたいことと今の仕事とのズレ
この2つでした。
モノの値段が上がって、毎月の支出が増えていったんだよね…
でも会社の業績も良くないため、生活費が増えるのに給料は思ったように上がらないことが2年くらい続きました
そんな時に、
「この給料で、この仕事を続けられるのか?」
「他にもっと高い給料をもらえる仕事があるのに、低い給料を受け入れてまでやりたい仕事か?」
を自問自答していました。
その結果、「自分の実現したい社会」のためにできる仕事で、給料が今よりも高い仕事を探してみようと決意し、転職に至りました。
最初の転職に比べ、2度目の転職は比較的簡単でした
転職書類も面接の仕方もだいたい分かってたから、ラクだったよね
もちろん働きながらの転職活動は大変です。それでも、最初の転職よりは難易度も下がりますし、心理的ハードルもだいぶ低くなります。
その経験があるからこそ、「公務員から転職して、失敗したらどうしよう…」と思っている方には、「もう一度転職すれば良い」とアドバイスしています。今はどの業界も人手不足なので、転職の難易度は下がっていますよ。
公務員を辞めようか迷っているあなたへ伝えたいこと

「公務員を辞めるなんてもったいない」「転職して、民間企業で失敗したらどうしよう」と迷っている方に伝えたいことが以下の3つです。
後悔しないために事前に知っておくべきこと
「公務員を辞める」と決める前に、以下の3点を知ってほしいです。
- 公務員からの転職は給料が下がる可能性が大きい
- 公務員から民間企業への転職は不利
- 1人で転職活動を成功させるのは難しい
30代、スキルなし、公務員という状況で転職して感じたのが上記の厳しさです。転職活動を始めてもすぐ決まるわけではありません。転職活動を初めてから内定を獲得するまで一年以上かかる人もいますので、必ず内定を得てから退職を職場の上司に伝えてください。
初めての転職で合わなくても、また転職してやり直せばいい

初めての転職で「この仕事、職場は自分に合わないかも」と思えばまた転職してやり直せば大丈夫です。私自身、1回目の転職が理想通りではなかったからこそ、再転職という選択をしました。
「転職=一発勝負」ではありません。むしろ、少しずつ理想に近づいていく感覚が大切です。
「これは失敗したな…」と思ってしまう転職先なら、もう一度転職すれば良いんです
公務員を辞める前は「辞めたら人生終わるかも」って本気で考えていたこともありました。ただ、一度転職をしてみると「そんなにオオゴトじゃないな」と思えるようになります。
私は40歳手前で2度目の転職をしましたが、今はそれくらい人手不足で、転職者が有利な状況です。
人手不足と言われているうちがチャンスです
今日始める「小さな一歩」が人生を変える

全員に転職を勧めるつもりはありません。でも今の仕事が嫌でたまらないのなら、「少しだけ情報収集してみる」ことで見えてくることもあります。転職サイトに登録するのでも良いですし、気になる企業の求人情報をネットで探すのでも、何でも構いません。
自分に合った仕事が分からないなら、科学的な適職 4021の研究データが導き出す [ 鈴木祐 ]がオススメです。
とにかく今日、何か一つでも新しい仕事に向けた行動を取ってみてください。
少しでも好きな仕事、興味の持てる仕事をすることで、人生がきっと楽しくなるはず。
私の転職前後の変化については、【体験談】公務員から民間への転職はきついのか?結果→仕事が楽しく&残業激減で詳しく記載しています。
あなたの人生が転職によって楽しく、充実したものになることを願っています。
それでは、また。

